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申し上げられませんが、デンマークでは教育と医療はまったくタダです。税金で全てをまかなっています。その代わり税金は所得の60%弱、消費税は25%、取られています。私はデンマークに20年住んでいる日本人の方に「生活はどうですか」と聞きましたら「来た当時は非常に不合理だと患いましたが、今は沢山払った分だけ安心して生活できるし、貯金をしなくても安心して年をとっていけます。」と答えられました。
福祉を税金で対応しているのは「デンマーク・スウェーデン型」です。しかしそのスウェーデンもいま破産寸前になっています。
一方ドイツでは介護保険というのがありまして、(日本ではそれを真似てやっているわけです)ドイツの介護保険は国や市町村からは1銭も出ておりません。保険金庫(ドイツでも国民健康保険や民間の保険会社といろいろあります)、保険機構のそれぞれの所から保険料をとってそれで全てをまかなっています。例えば国民健康保険に該当するものとして、社会疾病金庫というものがあります。そこではそれぞれ入っておられる会員の中の所得から1.7%を介護保険にとります(96年7月から)。驚いたのは日本では、生活保護費を受けてる方は保険料、保育料、給食費などはタダですが、ドイツでは保険料を払わない人は適用できません。所得の有る人も生活保護受給者からも同じように1.7%とるのです。つまり義務を果たした人には権利を与えますというのがドイツ型です。
日本では、保険料は500円とか政治家の皆さんは言っていますが、どう計算しましても月2500〜3000円頂かないと介護保険は成り立ちません。これはきわめて問題があろうかと思います。参考までに申し上げておきますが、福祉を十分充実していくためにも財源問題を避けて通れないわけです。
日本では税金はあまり払いたくないけれど、サービスはどんどん実施していって欲しい、とある政党などはお金は何処かに打ち出の小槌があるかのようにおっしゃいますが、どこにもありません。これはみんなが何らかの形で負担する。お金で負担するか、自分が汗を流して協力するか、またその他のことで協力するとか様々な方法があります。やはり国民の皆さんがいろいろな形で参画していただかないと、行政の谷間というものは埋められませんし、福祉の向上は果たせないと考えております。
高齢社会は確実に近づいています。どの様に対応していけばよいのか、この2年間介護保険を通じて頭を痛めてきました。そしてまたこれからの高齢社会を乗り切っていくためには、市民の皆さんのボランティアに期待するものが非常に大きなものであると思います。これは守口市だけではなく、全国どこでも同じではないでしょうか。やはり、市民の皆さんが自分の出来ることを地域のためにやっていくことを外して、福祉社会の構築はないのではないでしょうか。
ボランティア活動は公平性を必ずしも必要とはしておりません。行政サービスが入りにくい所でも十分に入っていけますし、臨機応変に対処していけますし、個別性というものが大きな特徴です。それとともにボランティアの方々の活動を通じて、人間のぬくもりというものが感じとれます。それだけに行政とボランティアがお互いに手を取り合って完全に補完しあえるような体制づくりが必要だと思います。
アメリカではNPOの団体(非営利団体)がありまして、ボランティア活動をしています。アナ・ミヤレスさんの団体もその1つですが、そこへ集まって来たお金、出したお金は全て無税だと聞いています。このことがボランティア活動を大きくし、ボランティア団

 

 

 

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